咬み合わせ療法

Bite therapy咬み合わせ療法

咬み合わせと姿勢の変化

虫歯や歯列不正などの歯科疾患がある場合、咬みにくいところでは自然と噛まなくなるため、どうしても咬み癖が生じます。
咬み合わせ異常は、正常な咬合咀嚼運動機能を阻害し、頭位の位置を変化させ、下部の脊椎症状を始め、姿勢異常をきたすため、さまざまな全身症状を引き起こします。
人間の体は、このバランス異常を正常に戻そうとするため、一部の筋肉が常時緊張した状態になります。
この筋肉の緊張が、肩こりや腰痛につながります。
咬み合わせの異常に関連して起こる様々な症状を、咬合(こうごう)関連症候といいます。頭痛、肩こり、腰痛のほか、聴力障害(耳鳴り、めまい、聴力低下)や手足のしびれなどの症状も現れる場合があります。
さらに咬み癖が進行すると、口を開ける時などに、左右の顎関節からカクンカクンやガリガリという音がするようになり、口が大きく開かなくなる顎(がく)関節症を発症することになります 。

咬み合わせと頭位の変化

咬み合わせ異常の場合、何が起きるかといいますと、まず噛んでいる側、噛んでいない側があり、咬み過ぎていると、咬み合わせの高さの左右、前後が変わってくるのです。
そうすると、低いところと、高いところ、右が高い、左が低い、という様な状況になってきます。低い方に頭がズレてくると、ズレを補正するように反対側の筋肉が緊張します。緊張することによって、肩こりが起きます。
筋肉緊張のズレが起こり、頭の位置が常時右や左に倒れてくると、脊椎がいつも同じ方向にねじ曲げられている形になります。
そのことによって反対モーメントがさらに下の方に掛かってきますので、右に倒れている場合は、左に引っ張ろうという力が、さらにその下で、右に引っ張ろうという力があり、反対側の腰痛が起きてきます。

咬合関連症とは

重心のバランスが悪いと上から下に肩こりが起き、腰痛が起き、膝の関節が痛くなるということが起こってきますが、この時点では、咬み合わせが関係するということを考える人は非常に少ないということです。
なぜかというと、肩が痛いのは整形、耳が悪いのは耳鼻科、のどが悪いのが耳鼻科、手の運動障害や膝の痛みは整形というように各領域の医院に行きます。
しかし、その原因が分からないということになります。それらの症状の一部には咬み合わせの調整でこのような症状がかなり軽快することがあります。 つまり、軽快するということは、咬み合わせを治したことによって変わってきたということです。これを咬合関連症といいます。

咬合関連症が進行していきますと、さらに顎関節等によって、関節円板が破壊されます。
破壊されることによって、ストレスが耳に掛かったり、脳に掛かったりということになってきます。
そのために、関節そのものに症状が起こります。
その関節そのものの症状というのは、口が開き難い、閉じ難い、顎の音がする、顎の痛みがある、こういう症状になってはじめて歯科の病気かなっていうことを感じるようになってきます。そうして、歯医者さんに行って、バランスよく咬み合わせを治すことによって症状が軽快することも多くありますが、時として、歯医者さんに行って、顎関節症と診断され、通常顎関節症は口腔外科の対象領域とされていますので、口腔外科に紹介されることがあります。
ところが、顎関節症というものはバランスよく噛めるような状態を作り出すことによって症状はどんどん消えていきます。
これが咬合関連症由来の顎関節症ということになります。

咬合の診断、検査にはT-scanIIシステムを使用しています。

咬合圧重心の位置、その位置の時間経過における軌跡、咬合圧の時間的な経過を示すグラフウインドウが表示され、咬合接触動態をチェアサイドでより簡便かつリアルタイムに解析できます。
咬合接触の評価すべき因子は下記と考えられています。
①咬合接触位置などの「位置的因子」、
②両側臼歯部均等接触という「力的因子」、
③両側臼歯部同時接触や偏心位での両側臼歯部の離開のタイミングなどを表わす「時間的因子」
T-スキャンⅡを用いることによって、従来の咬合紙法を用いた「位置的因子」のみならず、「力的因子」「時間的因子」を評価しています。

当院の医院長は咬み合わせ治療の本も出版しております。